マルクス・アウレリウス・アントニヌスのローマ帝国皇帝即位

西暦161年の今日、マルクス・アウレリウス・アントニヌスが第16代ローマ帝国皇帝に即位した。

マルクス・アウレリウスは五賢帝最後の皇帝としてその名声は現代においても響き渡っている。その著書である「自省録」はあまりにも有名であり、ストア派哲人の代表作として語り継がれてきた。映画「グラディエーター」でホアキン・フェニックスの演じる皇帝コンモデュスの父であり、映画ではコンモデュスに暗殺される設定となっている。

マルクス・アウレリウスのすごいところは皇帝として各戦地を回りながら哲人政治を追求し、常に自制心を忘れず帝国を運営したことだろう。2000年近く前にそういった志をもって生きていた皇帝がいたことに驚く。

そんなアウレリウスが自らを戒めるため日々記していたのが「自省録」。自省録は今でいうブログの内容に近いものがある。といっても公開を目的に書かれたものではなく、自身の正直な気持ちを自身に向けて書き記した日記であり、それが日の目を見るのは死後800年ほど後のこと。アウレリウスの思想や苦悩が手に取るようにわかり、また当時の人々の暮らしや考え方が具体的に記さている超一級資料でもある。

アウレリウスの考えはいわゆるストア派であり、どことなく仏教や道教の考えにも似ている。この世は常に変化しており、自分にはどうにもならないことが殆ど。そんな外部の変化に振り回され我を忘れるのではなく、立ち止まったうえで、自分の心と感情を制御し、今やるべきことに集中する。そうすれば自ずと道は開ける。

これはAIやオートメーションが怒涛の如く繰り広げられる現代にも通じる考え方。現代に生きる我々は外部から来る情報に振り回され、気を抜くとその奴隷と化し、貴重な時間が奪われる。スティーブ・ジョブズが我が子にスマホを触らせなかったというのは有名な話。情報のインプットは大事だが、それだけでは真の意味での学習はできない。学習はアウトプットして初めて身につく。ギターの弾き方が書かれた本をいくら読んでもギターを弾くことはできない。

テクノロジーが発達すればするほど我々人類は実際に体を動かして一瞬一瞬の行動から大切なものを学び取らなければならない。そうでなければ一方的に情報を流し込まれるゾンビと化してしまう。

アウレリウスは言う、「あたかも1万年も生きるかのように行動するな。死は必ず訪れる。だから生きている間にできる限りやるべきことをしろ」

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA