社会とイノベーション

一人ではなかなか生きられないのが人間の悲しい性。だからなんとか同調しようと頑張るし、そのために敏感に周りを気にしてしまう。そのどれも人間が生きるために備わった必要な機能。仲間外れにされることは、太古から人間にとってもっとも恐ろしい事態の一つ。それは場合によっては死を意味する。

現代社会は、そこまで悲壮なものではないが、思考の働きはあまり変わらない。過去の事例や未来の予測に基づき色々と計算し、自分の生存が脅かされていないかを確認しながら生きている。

そしてそんな面倒なことを絶えず意識したくないので、同調と現状維持を選び、その集合意識が安定した社会を形作っている。これも社会に必要な機能。

こういった性質がある一方、現状を変えたくて新天地を追い求めるのもヒトの性。それは世界中にヒトが散らばった一つの要因だろう。突然変異的に誰かが飛び出し、新たな創造がもたらされる。新しい食べ物や水源地を見つけたり、新しい生きる工夫が見いだされ、人類に余剰リソースがもたらされる。それがイノベーションの根源であり、それが人類を発展させてきた。

しかし社会は常に安定と現状維持を求めるので、イノベーションの強引な押し付けは逆にその拡散を妨げる。そもそも社会の側がメリットを感じれなければ広まらない。あくまでもしっかりと地に足を付け、周りが求めていることに対応しつつ前へ進めなければ広まらない。

そうやっていくうちに俯瞰的見地から社会全体へのメリットを唱えることが出来る。

何よりも「今ここに」が一番大事なこと。過ぎ去った過去でもなく。未だ来ぬ未来でもなく。

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